2012年08月31日

高年齢者雇用、受け皿どうする? 企業に重荷…若い世代にしわ寄せも

雇用は必要ですが、難しい問題です

 60歳の定年後も希望者全員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が29日、参院本会議で可決、成立した。来年4月から厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられることに伴う措置で、年金給付が始まるまでの無収入を防ぐのが狙いだ。ただ、景気低迷や国際化に伴う事業拠点の海外移転などで国内の雇用環境は厳しい。受け皿が限られる中、雇用延長の希望者が増えれば、採用抑制や給与削減といった若い世代への「しわ寄せ」で経営の活力が損なわれる恐れもあり、企業は対応に頭を悩ませている。

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 ヘルシーな定食を出す社員食堂のレシピ本が、485万部の大ベストセラーとなった大手計測器メーカーのタニタ。東京都板橋区の閑静な住宅街にある本社では、60歳を過ぎたベテラン社員が、若手社員らのそばで社内を清掃している。同社は2年前、65歳までの雇用延長の義務化を見据えて、60歳定年を迎えた社員を一定条件で再雇用するタニタ総合研究所を設立した。64歳までの20人を再雇用し、主に本社のビル管理や機器リースなど外部に委託していた業務を手がけ、コスト削減に貢献しているという。

 「仕事に就く前には十分に話し合い、納得してもらっている」(タニタ総合研究所の今正人社長)といい、中には技術を生かしてデザインを担当しているベテランもいる。だが、若手の仕事を奪うわけにはいかず、継続雇用の安定のためには「社外で仕事を探すことが課題」(今社長)になっている。

 厚生労働省の昨年の調査によると、希望者全員が65歳まで働ける企業は47.9%にとどまっている。製造業や運送業など現場が「体力勝負」の産業では、年齢を重ねるほど働き方が難しくなるという事情もあり、継続雇用の受け皿の確保は容易ではない。

 運送業界は、景気の低迷で取扱量が激減し、取引先からの運賃引き下げ圧力も強い。燃料費の上昇を料金に転嫁できず、業界団体による各社のコスト削減でドライバーの平均月収はこの15年間で15%以上も下がった。その結果、若手の就業者は減っている。ベテランドライバーは貴重な戦力のはずだが、それでも関東近県の中堅運送会社の社長は「60歳以上のドライバーは体力・視力、反射神経も衰える。事故防止の観点からは使いたくない」と話す。

 一方、ある大手自動車メーカーでは、これまで車両組み立て作業などを担当している社員が50歳半ばを過ぎると、管理部門へ異動させてきた。しかし、歴史的な円高などを背景に国内生産台数が大幅に減少。設備投資の軸足が海外に移る中で、人員ニーズは製造現場も管理部門も先細り。労務担当は、65歳までの継続雇用の義務化に対応するには「2人が1日おきに出勤して1つの仕事をワークシェアするか、若年層の採用を抑えるかしかない」と頭を抱える。日本自動車工業会の試算によると、60歳定年までの40年間の雇用期間が、65歳まで延長されると人件費負担は12.5%増えるという。

 「仕事も人件費もないのに、どう雇用を維持すればいいのか」(大手自動車の労務担当)というのが、多くの企業の本音。経団連が会員企業などを対象に昨年行った調査では、雇用延長が義務化された場合、5割が再雇用した社員の給与水準を引き下げ、4割が若年層の採用抑制を実施すると回答した。

 実際、こうした企業の労務対策は現実になり始めており、NTTグループが6月に労働組合に示した継続雇用制度案が波紋を呼んでいる。約22万人の従業員を抱えるNTTグループは、来年度から定年を65歳まで延長する代わり、来年度の新入社員から昇給率を30代以降で抑制する。経営側は、65歳定年まで働いた場合に受け取る生涯賃金を増やすことで折り合いをつけたい意向だが、若手にしわ寄せが行くことへの反発も強く、今後の労使交渉が難航する可能性もある。

 厳しい国際競争の中で、雇用延長と若手の働く意欲の向上を両立させるのは至難の業だが、65歳以上の高齢者1人を支える15〜64歳の現役世代が2010年の2.8人から、55年には1.3人に減る現実は重い。NTT労組出身の石橋通宏参議院議員は「年金制度を支えるためにも、若い現役世代を労働市場に多く残すことは不可欠。企業は65歳までの雇用延長を視野にキャリア育成の見直しを急ぐべきだ」と警告している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120829-00000000-fsi-bus_all
posted by ナノ at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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